
ぼんちょは一時期、児童発達支援センターから帰ってきて車からすぐに降りられない(切り替えられない)時期がありました。
知的障害や発達障害のお子さんで「切り替えが難しい」場合があります。
ぼんちょの場合は、年中の終わりから年長の初めにかけて帰宅後に「車から降りない」ということが続きました。
「車から降りる」というこちらが期待する望ましい行動をしてもらうために家族としてどんなことを考え、どんな対応をしたのか経験談を紹介します。
車から降りられない!切り替えが難しい理由

起こっている行動の背景を考える
- 行動の理由
- 行動の背景
- 行動の前後の状況
困った行動がある時。行動にばかり目を向けがちですが、行動の理由、背景、前後の状況など見えない部分に目を向けることが大切です。
車から降りられない理由は何か
- もっと車に乗っていたい(車に乗っておくと良いことがある)
- 車を降りた後の活動がわからなくて不安・もしくは活動に不満
- 車の中にいるのが好き
示した理由は一例です。
ぼんちょの場合は、チャイルドシートを外した途端に前座席に移動したことがありました。
その経験が楽しかったようで、それ以降前座席に行きたがることが続きました。

望ましくない行動が定着すると困るので家族は断固阻止の姿勢。ですがぼんちょも頑固で「車からは絶対降りないし前座席に行く」という気持ちを曲げず、強い力で抵抗してきました。
車から降りられない!行動へのアプローチ
望ましくない行動をする時には、その行動の後に何が起こっているかを整理するようにしています。ほとんどの場合、本人にとって良いことが起こっていたり反対に良くないことを回避できている可能性があるからです。
行動の後に起こったことを学習して、望ましくない行動が定着していることがあります。
車から降りなかった時に起こることを整理する
- 前座席に移動できた
ぼんちょの場合は「車から降りなかったら前座席に移動できた」という経験が車から降りないという行動を強化しているようでした。
他には例えば「車から降りなかったらドライブに連れて行ってもらえた」という経験なども車から降りない行動につながる可能性があります。
車から降りたら良いことがあることを経験させた
- 車から降りた後を「おやつ」の時間にする
「前座席に移動する」ことよりも「車から降りる」と本人にとってメリットがあることを伝えました。
メリットになるものを考えた時に思いついたのは「おやつ」でした。
透明のジップロックにビスケットやスナック菓子を1個だけ入れてぼんちょに見せました。
すると自ら降りて家の中に入れたので、そのまま手を洗っておやつの時間にしました。
しばらく続けると「車から降りるとおやつの時間」というルールがぼんちょの中で定着し、おやつを見せなくても降りてくるようになりました。
ちなみにお気に入りのおもちゃで誘ったこともありましたが、「前座席に移動したい」という気持ちに勝てませんでした。普段は出していない目新しいおもちゃで誘うと降りてくれることもありました。ですが、毎回目新しいおもちゃを見せるのが難しかったので、一番効果がある「おやつ」そのものを見せるという形に落ち着きました。
行動そのものができなくなるアプローチ
「車の前座席に移動する」という行動そのものを不可能にすることも考えました。
具体的には100均で売られているワイヤーネットを前座席と後部座席の間に配置してみました。
たしかに後部座席からは前座席に移動しなくなりましたが、一旦降りたとしても前ドアを開けようとするなど家にはなかなか入ることはできませんでした。
車から降りようとするまで車の中に居続けた
一旦チャイルドシートから降ろした時に降りずに前座席に移動したら、再度チャイルドシートに座らせて車の中に居続けたこともありました。
30分くらい何もせずにいると、さすがに降りてくれたのですが・・・
時間がもったいなさすぎる!
数回続けてみましたが、意味もなくチャイルドシートに拘束し続けることになるのは良くないなということで早々に辞めた方法です。
結論「望ましい行動をしたら良いことが起きる」ことを伝えることが、ぼんちょにとって一番効果のある方法でした。
まとめ
知的障害や発達障害を持つ子どもが「車から降りない」という行動をとる理由を考える時には、車から降りなかった時に本人にとってどんな良いことが起きるのか・また良くないことを回避できるのかに目を向けることが大切です。
この記事では、「車から降りない」という実際の困り事・望ましくない行動へのアプローチについて実体験を交えてご紹介しました。特に、「望ましい行動をしたら良いことが起きる」というアプローチの仕方は、実体験から効果的であると私は考えています。
今回は「車から降りない」という具体的な行動の1例について紹介しましたが、子どもの行動に困り、どう対処すれば良いか悩んでいる保護者の方にとって、この内容が少しでも役に立てば幸いです。