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知的障害を支える!サポートブックの作り方と活用

eyecatch 障害児と暮らすヒント
障害児と暮らすヒント

知的障害を持つ子どもの支援に役立つ「サポートブック」。

その作成や活用について知っておくことは、子どもが支援を受けるときにとても役立ちます。

この記事わかること
  • サポートブックを作るメリット
  • サポートブックの作り方
  • サポートブックの活用法

今回は、サポートブックの概要から具体的な作り方、そしてどのように活用しているかまでを、実際にぼんちょのサポートブックを作成している経験をもとに紹介したいと思います。

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サポートブックとは?

実際にぼんちょが使っているサポートブックファイルの画像
実際に持ち歩いているサポートブックファイル。定期的に中身は更新しています。

サポートブックの概要

サポートブックとは、知的障害をもつ子どもの個別の特性や必要な支援内容を記録した書類や冊子のことです。

子どもが関係する家族、支援者、学校、福祉サービス提供者など、さまざまな関係者が情報共有しやすくするために作ります。

サポートブックを作るメリット

私がこれまでにサポートブックを作ってきてみて、サポートブック作成には次のメリットがあると感じています。

メリット
  • 情報共有:子どものに関わる人全員が知っておくべきことを共有することができる
  • 支援の手がかり:子どもの特性に合った支援をするための手掛かりになる
  • 子どもについての説明の助けになる:サポートブックを作っておけば、どんな子か尋ねられた時の説明の助けになる
  • 育児記録:定期的に作ってすべて残しておくと、育児記録になる
  • 書類提出がラクになる:書類の記入を求められた際に、サポートブックを頼りに記入ができる
パトまめ
パトまめ

個人的には、療育手帳の取得・更新の時に、子どもの様子・状態について聞き取りがあるのですが、サポートブックがあると、説明が楽になってよかったです。

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サポートブックの作り方

サポートブックを作成するイメージ図

サポートブックの様式を選ぶ

サポートブックの様式は、手書きでもデジタル(WordやExcel)でも作成可能です。

一から自分で考えるよりは、参考になるサポートブックをインターネットなどで探して利用するか、参考にして作成するのがおすすめです。

パトまめ
パトまめ

パトまめは、住んでいる地域の社会福祉協議会のホームページに掲載してある様式を使っています。パソコンで作りたかったのですがPDFしか掲載していなかったため、メールで問い合わせて編集可能な「Word形式ファイル」を送ってもらいました。

サポートブックに入れたい特に重要な項目

サポートブックの中に入れたい特に重要な項目は次のとおりです。

安全上の注意点:命に関わったり、絶対にやめてほしい行動や危険なことについて記入します。併せて、それが起きないようにどんな工夫をしているか、起こってしまったらどうしてほしいかを記入します。

投薬・持病・アレルギー:服薬中の薬について記載し、必要に応じて投薬説明書を付けます。アレルギーや持病についても詳細を記入します。

体調が悪い時:体調が悪くなる前兆について記載します。

これらについては、新しい福祉サービスを利用する時には、サポートブックを渡すだけでなく、口頭でも必ず説明し、特に全職員に共有してもらうべき事項です。

サポートブックにおける情報の整理方法

基本情報

  • プロフィール:氏名、生年月日、呼び名、性別、血液型、住所、連絡先
  • 学歴:過去から現在通っている学校園、担任名
  • 障がい名:診断名、初診日、診断日、医療機関(担当医名)、合併症
  • 家族構成
  • 生育歴:出生時の記録、新生児期の記録(黄疸・授乳・哺乳力)、乳幼児期に気になったこと、成長の記録(首のすわり、独歩など)、医療ケア(有無)、健康診断の経過(1歳半検診など)
  • 支援・訓練の経過:リハビリ(作業療法・言語療法など)、障がい児支援サービス(療育)の利用など
  • 検査の経過:発達検査、療育手帳取得の経過

身辺自立や生活の状態

身辺自立や生活の状態については、それぞれの項目について「現在の状況(できていること・できていないこと)」「気をつけてもらいたいこと」「支援のポイント」を記入しています。

例えば、食事について、実際にぼんちょについて記載していることを載せてみます。

食事に関する内容
  • 現在の状況:介助してもらって食べる。スプーンですくうことができる。お皿を支えることが難しい。
  • 気をつけたもらいたいこと:自分なりに食べたい順番がある(今食べたくない物は手で押し返す)、いつまでもおかわりをしたがる
  • 支援のポイント:お皿は押さえるのを手伝う、実物を見せると手をパチパチ叩いて食べたいとアピールしたり、手を伸ばして選択する、おかわりが無い時は「終わり」用のカゴにお皿を片付けるとわかりやすい

このような要領で、次の項目についてそれぞれ同じように記入しています。

  • 食事:使用できる食具や食器、形状
  • 飲水:コップやストロー、飲水量
  • 排泄:尿意や便意の有無、おむつの使用、後始末
  • 着脱:ズボンやスカート、シャツや上着、前後左右裏表の区別、靴の脱ぎ履き、ボタンやベルト
  • 入浴:体や頭、シャンプーリンスや石鹸の使い分け、タオルでふく
  • 整容:手洗い、顔洗い、身だしなみ、気温に合う服を選ぶ
  • 移動:車椅子の使用、装具の使用、安全に気をつけることができるか
  • 睡眠:就寝時間と起床時間、昼寝の有無、一人で寝るか、睡眠前の服薬

コミュニケーション・対人関係

コミュニケーション・対人関係についても、それぞれの項目について「現在の状況(できていること・できていないこと)」「気をつけてもらいたいこと」「支援のポイント」を記入しています。

例えば、意思表示について、実際にぼんちょについて記載していることを載せてみます。

コミュニケーションに関する内容
  • 現在の状況:手を引いて知らせる、手をパチパチ叩いて要求を示す、実物・写真カードで選択する
  • 気をつけたもらいたいこと:たくさんのカードから選ぶのはまだ難しく、実物で選べてもカードで選ぶと一致しないことがある
  • 支援のポイント:選択するときは、2つ程度の実物を見せて選ばせた後に、写真カードでも同じものを選ぶか確認をし、間違える場合はエラー修正する

このような要領で、次の項目についてそれぞれ同じように記入しています。

  • 意思表示:言葉、単語、身振り手振り、指さし、視線、表情、手話、手書き、文字盤、絵カード
  • 理解:言葉、単語、質問への回答、会話への応答、文字、絵や写真、身振り
  • 遊び:集団、ひとり遊び、好きな遊びや関心
  • 対人関係:集団行動、人付き合い、距離感

感覚や行動

感覚や行動についても、それぞれの項目について「現在の状況(できていること・できていないこと)」「気をつけてもらいたいこと」「支援のポイント」を記入しています。

例えば、感覚について、実際にぼんちょについて記載していることを載せてみます。

感覚に関する内容
  • 現在の状況:全体的に感覚鈍麻、くるくる回ったり、揺れたりする遊びが好き
  • 気をつけたもらいたいこと:横走りしたり飛んだり跳ねたりしますが、体幹が弱く転びやすいです
  • 支援のポイント:転んだときは、本人が痛がっていなくても確認する、室内で動き回るときは滑らないよう靴下を脱ぐか上靴を履く

このような要領で、次の項目についてそれぞれ同じように記入しています。

  • 感覚:音、匂い、偏食、人混み、視覚情報、暑さ・寒さ
  • 行動:こだわり、ルーティン、癇癪、多動、気持ちの切り替え、パニック
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サポートブックの渡し方は?

サポートブックを渡す時のイメージ図

作成したサポートブックは、全てを渡すのではなく、必要な部分だけを選んで相手に渡すよう準備します。
必ず、コピーするなどして、自分の手元にも同じものが残るようにしておきます。

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サポートブックの活用タイミング

学校や園での活用

サポートブックを学校や園と共有することで、教職員が児童の特性を理解しやすくなります。

学校や園でサポートブックを活用できるタイミング↓

  • 入園・入学のとき
  • 進級したとき
  • 懇談のとき

福祉サービスや医療機関での活用

福祉サービスや医療機関を初めて利用する際にも、サポートブックを活用することで、本人を理解してもらったり適切なサービスを迅速に提供してもらうことが可能です。

福祉サービスや医療機関での活用できるタイミング🔻

  • 必要書類を書くとき
  • 相談するとき
  • 新しい福祉事業所を利用するとき
パトまめ
パトまめ

福祉サービスや医療機関は、事前に子どもについて書いてきてほしいと様式を渡されることも多いです。よく聞かれる「首のすわり」や「独歩」の時期なども、サポートブックを作っておけば、見ながら全部記入することができます。

家庭での活用

家庭間での情報共有にも役立ちます。
特に、夫婦間だったり、おじいちゃんおばあちゃんとでは、本人への対応の仕方が定まらない場合があります。

口頭で共有することもできますが、関わり方を一定にした方が良い場面があったり、本人の好き嫌いを共通認識しておく場合などには、家族用にサポートブックを作って活用することもできます。

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サポートブック活用の注意点

渡して安心してはダメ

サポートブックはあくまで、補助ツールです。
本人のことを伝えるために利用できるツールではありますが、渡したものを読んでくれるかどうかは相手次第です。

なので、サポートブックを渡すと同時に、大切なことは口頭でも説明する必要があります。
あくまで、サポートブックは、本人のことを伝える・理解してもらうための補助ツールとして活用できる物です。

サポートブックに書いてあることがすべてではない

サポートブックに書いてあることは、ある時点での本人のことです。

当たり前ですが、本人は日々成長しますし、場所や相手など環境によっても変わります。
なので、サポートブックに書いてあったとしても、その通りではないことも起こります。

家族以外の人とサポートブックを共有している場合は、あくまでサポートブックは参考にしてもらうものであって、目の前の本人を見て分析してもらいながら、支援を提供してもらえるよう働きかける必要があります。

また、うまくいった支援などが新たに見つかったときは、家族にフィードバックしてもらえるような連携をお願いしておくのも大事です。

定期的な更新が必要

サポートブックは一度書いたら終わりではなく、本人の成長や状況の変化に応じて更新していく必要があります。

特に、年度の代わりや、新しいサービスを利用するときなどには、毎回見直して最新のものを提示するようにしています。

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まとめ

今回は、知的障害に役立つサポートブックの作り方と活用方法について紹介しました。

この記事は、実際にぼんちょのサポートブックを作成して活用した経験をもとに作成しています。

サポートブックは、知的障害を持つ子どもの支援において、関係者で情報共有して支援の手がかりを見つけていくための大切な補助ツールです。
家族にとっては、育児記録にもなるし、書類作成の時にも役立ちます。

作成には手間がかかりますし、活用にも注意が必要な点はありますが、適切に運用すれば、本人と周囲のやり取りがスムーズになります。

同じ境遇の方がいましたら、この記事がサポートブックを作成・活用する参考に少しでもなると嬉しいです。

もし、何かお気づきの点がありましたら、お問い合わせページよりお知らせください。

最後まで、読んでくださりありがとうございました。

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このブログの作成者
パトまめ

重度知的障害の男の子を子育て中の母です。
ブログでは知的障害の子と一緒に楽しく暮らしていくためのヒントを紹介。

ぼんちょは特別支援学校に通う1年生。
地域の小学校に通う小3の兄と両親と4人暮らし。
発語はなく療育手帳A判定です。
こだわりがあり想いが通らない時はちょっぴり怒りながらも本人は楽しそうに生きています。
よく笑う、愛されキャラ。

療育での取り組みや学校での生活、福祉サービスの利用、使用して良かったアイテムなどについて紹介します。

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